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「泣く女」という作品

ピカソの「泣く女」
ピカソが描いた「泣く女」は、「ゲルニカ」にも登場しています。
非常に特徴的な作品で、暖色系の色が多く使われた極彩色でコントラストが鮮やかな、独特の雰囲気があります。

私はこの絵を見ていると、どことなく不安な気持ちになるのですが、何故か目が離せなくて、とても不思議な魅力を感じます。
色使いのせいなのか、ハンカチらしきものの下に顔が透けて見えているせいなのか、線画のせいなのかは分かりません。
少し苦手な気持ちもあるのに、何故か好きな作品の1つです。

「泣く女」のモデル

この絵のモデルになったのは、写真家のドラ・マールという愛人だと言われています。
彼女をモデルとして描かれた作品は、この他にも「ドラ・マールの肖像」などがありますが、最も有名なのがこの「泣く女」です。

この愛人の他にもピカソにはフランソワーズ・ジローという愛人がおり、ピカソのアトリエでこの2人は取っ組み合いの喧嘩までしていた、というエピソードは有名です。
ドラ・マールは、かなり感情を表に出すタイプの女性だったようで、ピカソにとっては本当に「泣く女」そのままのイメージだったのかもしれません。
日本で男性の画家というと、何となく奥手で女性に縁がなさそうなイメージが私の中にはあるのですが、ピカソは女性関係が派手だったようですね。
ちなみにピカソは、このドラ・マールに誘われて、共産党に入党して死ぬまで党員だったそうです。

実は100種類以上のバリエーションがある?

「泣く女」をモチーフとする作品は、100種類以上のバリエーションがあると言われています。
作風も様々で、感情がたかぶっているのか空に向かって叫びながら泣く女、嘆き悲しんで泣く女、目が飛び出すほど泣く女、悔し泣きなのかハンカチを食いしばって泣く女など、本当に色々です。
色使いは基本的に多色ですが、「ゲルニカ」と関連する「泣く女」の一部には、モノクロの作品もあります。

「ゲルニカ」に登場している「泣く女」は、「死んでしまった子どもを抱きかかえながら泣く母親」という姿になっています。
口の中から飛び出るようになっている舌を見ると、この母親はあまりの悲しみに空に向かって叫んでいるように思えます。
「泣く女」として描かれた、「ゲルニカのための習作」では目が飛び出し、とんがった舌、やじりの形になっている鼻孔が代表的です。

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